MACD（マックディー）とは？
トレンドと勢いを一度に掴む最強のテクニカル指標
トレンドフォロー派にも逆張り派にも人気の高いテクニカル指標――それが MACD（Moving Average Convergence Divergence） です。
名前は難しそうですが、仕組みを理解すると「相場の勢い」と「転換点」を一目で判断できる非常に便利なツールです。
この記事では、
- MACDの仕組み
- 基本的な読み方と使い方
- 実際のトレードへの活かし方
を、誰にでも分かるように解説します。
そもそもMACDとは何か？
MACDは、2本の移動平均線の関係を数値化した指標です。
つまり、「短期移動平均」と「長期移動平均」の距離と動きから、トレンドの強さや転換のタイミングを教えてくれるものです。
具体的には次の3つで構成されています。
名称 | 内容 | 役割 |
|---|---|---|
MACDライン | 短期EMA（例：12日）− 長期EMA（例：26日） | トレンドの勢いを表す |
シグナルライン | MACDラインの平均（例：9日EMA） | MACDラインの方向性を滑らかにしたもの |
ヒストグラム | MACDライン − シグナルライン | 両者の差を棒グラフで表す（勢いの可視化） |
どうやって計算されているの？
ざっくり言えば、こうです👇
短期の指数平滑移動平均（EMA）を出す（例：12日）
長期のEMAを出す（例：26日）
それぞれの差＝「MACDライン」
MACDラインの9日EMA＝「シグナルライン」
2本の差を棒グラフ化＝「ヒストグラム」
数学的な話は覚えなくてもOK。
要は、「短期と長期の勢いの差を見ている」と理解できれば十分です。
MACDの基本的な見方
① ラインの位置と傾きでトレンドを読む
MACDラインが0より上 → 上昇トレンド（買い優勢）
MACDラインが0より下 → 下降トレンド（売り優勢）
傾きが急ならトレンドの勢いが強く、横ばいなら勢いが弱いと判断します。
② シグナルとのクロスで売買サインを読む
MACDラインがシグナルラインを上抜け → ゴールデンクロス（買いサイン）
MACDラインがシグナルラインを下抜け → デッドクロス（売りサイン）
これは最も有名な使い方。
「上抜け＝勢いが上向き」「下抜け＝勢いが鈍化」と判断します。
③ ヒストグラムで勢い（モメンタム）を掴む
ヒストグラムが大きくなる＝MACDとシグナルの差が広がる＝勢いが強い。
逆に小さくなってゼロに近づく＝勢いが弱まってきている。
つまり、ヒストグラムの伸び縮みを見るだけで相場の熱量を感じ取れるのです。
実際の使い方：トレード戦略例
戦略①：ゴールデンクロスで順張りエントリー
上昇トレンド初期を狙うシンプルな戦略です。
MACDラインがシグナルラインを上抜け
さらに、0ラインより上で維持される
→ 強い上昇トレンドの発生サイン
※このタイミングでローソク足の形や出来高もチェックすると信頼度UP。
戦略②：デッドクロスで利益確定またはショート
反対に、
MACDがシグナルを下抜けし、ヒストグラムが縮小してきたらトレンド転換の兆し。
上昇トレンドの終わり＝利確ポイントにもなります。
💎 戦略③：ダイバージェンス（逆行現象）で転換点を読む
「価格は高値更新しているのに、MACDは下がっている」
→ これがダイバージェンス（逆行）です。
これは「上昇の勢いが弱まり、近いうちに下落するかも」という警告サイン。
逆に、価格が下げているのにMACDが上がっている場合は反発の可能性があります。
MACDの強みと弱点
強み
トレンドと勢いを同時に把握できる
視覚的で分かりやすい
他の指標（RSIや移動平均線）と組み合わせやすい
弱点
移動平均をベースにしているため**遅行性（ラグ）**がある
横ばい（レンジ）相場ではダマシが多い
パラメータ設定次第で結果が変わる（最適化が必要）
🔧 設定のコツ
一般的には「12・26・9」が標準設定ですが、
短期トレード（デイトレ） → 5・13・6
中期トレード（スイング） → 12・26・9
長期投資（株・ETF） → 19・39・9
のように使い分けると、より自分のスタイルに合ったサインが得られます。
🚀 実際にやってみよう！
チャートアプリを開く（TradingViewなど）
「MACD」を追加
標準設定（12, 26, 9）を適用
MACDとシグナルのクロス、ヒストグラムの変化を観察
最初はシンプルに、「クロスしたらどう動くか」を見るだけでもOKです。
だんだん、ヒストグラムやダイバージェンスが“目に見えるように”なってきます。
まとめ：MACDは「相場の呼吸」を読むツール
移動平均線が「流れ（トレンド）」を示すなら、
MACDはその流れの強さ（勢い）や変化の速さ（タイミング）を教えてくれる指標です。
初心者でも扱いやすく、プロも愛用する理由はそこにあります。
まずは設定を変えずに観察し、自分のトレードスタイルに合うパターンを見つけてみましょう。
最終更新日: 2025/11/12 14:06